『暴れん坊将軍』の功罪
随分前になりますが、松巳会公式HPの掲示板に、「松平健さんの俳優としての評価が低いんじゃないか?」という投稿がありました。まったくの同感ですが、私の場合少し違うのが、マツケンサンバ・ブレーク以前のずっとずっと前から同様の事を感じていたという事です。
何度もしつこく語っていますが(^_^;)、もともと健さんのファンになったきっかけが『暴れん坊将軍』ではなく、NHK大河ドラマ『草燃える』でした。
ですから松平さんは数々の歴史上の人物を(他の多くの名優さんたちと同様)重厚に演じることができる希有な俳優さんなのに、どうして世間一般の評価は低いのだろう・・・と常々不満に思っていました。実はこの不満に思っていたというのがくせもので、私の場合、不満を持っていた相手が”世間一般の人”ではなく、”松平健さん”その人に対してであるという事です。
こう言い切ってしまう事に、多くの健さんファンの方に対して躊躇が無くもないのですが、この”評価の低い”理由は明白です。
-『暴れん坊将軍』を演じ続けることに拘りすぎたため-
もちろん松平さんは『暴れん坊~』を演じながら、他の舞台やドラマにも出演して演技を幅を広げてはいらっしゃいましたが、この駒を”捨てる”ことだけはしませんでした。-何故?
よく松平さんはおっしゃってました。「ファンの人がいつまでも続けて欲しい。生き甲斐ですという方もいる。多くのファンの人がそう願っているから。」その言葉を聞くたびに私は叫んでいました。
「嗚呼~松平さんは本当にファン思いなんだな。でも本心はそうだったんだろうか?私は『暴れん坊~』に呪縛される松平さんは見たくないのに・・・」と。「暴れん坊の駒を持っていないと、他の仕事ができないからなのか?」なんて嫌らしい気持ちまで抱いていました。
10年、15年・・・・20年とテレビシリーズが続くうちに、私の叫びの気持ちも声もだんだん小さくなってしまいました。ちょうど師匠の勝新太郎さんが「もうこれはお前の財産だから続けてもいいよ」っとおっしゃったのと呼応するように。
悲しいかなテレビシリーズがあのようなみじめな終焉を迎えて、松平さんは本当はどんな気持ちだったのでしょう?「どのような形にせよ、終わって良かった」と思ったのか、「1000回までは何としても続けたかったのに悔しい」なのか?それとも? 一般人には心の内は推し量りようもありません。
決して私が望んだ形ではありませんが、その後の松平さんは、危機感に追い込まれるように様々な仕事に打ち込まれるようになりました。『用心棒』、『弁慶』などの舞台も名作も次々に生まれました。また『石井のおとうさんありがとう』や『バルトの楽園』の松江所長など、これまで光の当たらなかった偉人達にも目を向けて素晴らしい人物像を造型して下さいました。-これこそまさに私の拝見したかった、俳優・松平健でした。
そしていよいよ亡き師匠の代表作『座頭市』にまで挑まれることなりました。5年前(『暴れん坊』終了前の頃)の私だったら、きっと不安に思っていたことでしょう。でもこの5年の間に様々な輝きを魅せて下さった松平さんです。今は何の不安も抱かないどころか、きっと『用心棒』の時と同じく、素晴らしい作品に仕上がるに違いない!という確信すら持っています。
どうかどうか舞台成果も興行的にも成功しますように!!来年のその日が来るのを指折り数えて待っています。
冒頭と結論が呼応していないので(^_^;)一言。今冬放送の『暴れん坊将軍SP』については、複雑な思いを抱きながらも(視聴者の声に応える形での制作が決定したとの事なので)、懐かしい故郷に帰るような気持ちで拝見したいと思います。
| 固定リンク
「松平健さん(その他)」カテゴリの記事
- 『暴れん坊将軍』の功罪(2008.10.17)
- 「歓喜の郷」に行ってきました!(2007.10.15)
- 『石井のおとうさんありがとう』(2006.12.09)
- ブログ始めました♪(2006.11.08)


コメント
一番乗りのコメントです。
「暴れん坊」ファンの私は
今冬の復活は、素直に「嬉しい」と思います。
確かに、「暴れん坊」シリーズの頃は
何をやられても「上様」がそばにあるので
あまりの対照的な役柄がないのは
松平さんの芸歴にとっては、
マイナスかもしれませんね。
自他とも認めるのは「暴れん坊」が
松平さんの芸歴に欠かせないものなんですよね
だから、それはプラスでもあり、マイナスでもあると思います。
でも、「吉宗」に関する書物、ほとんど読まれたという記事を
どこかで見ました。
願わくば、これからも松平さんの中で
この作品をいつまでも大切にしてほしいなあと
秘かに願っているわたしです。
投稿: 暴れん坊うえりん | 2008年10月17日 (金) 12時07分
ここにわたしは来るべきではないかも~、と思いながらも、Shibakoさん・うえりんさんのコメントを拝見して、思わずお邪魔させていただきます。
「暴れん坊将軍の功罪」ですか。。。。。Shibakoさん、ほんと大胆ですね(^_^;)。とはいうものの、20代の頃、わたしが松平さんのファンを廃業していたのも、ある意味、それが原因だったのかもしれません。「草燃える」で義時を演じられた松平さんに対して、当時10代の私は「無限の可能性」を感じたのです。
「暴れん坊将軍」は、多くのファンの方にこよなく愛され、松平さんを「時代劇スター」に押し上げましたが、それと同時に、松平さんにある種の「レッテル」を貼ってしまったのだと、私は思います。007のS・コネリー(例えが古すぎで申し訳ないm(__)m)のように、「途中で降りる」という欲求・葛藤が、松平さんにもあったと思います。「暴れん坊将軍」は、「安定した基盤」という意味ではローリスクでありながら、「多面性を持つべき役者」としてはハイリスクな選択肢であったと思います。それらのリスクベネフィット、そして「ファンの方々の思い」を鑑みた上で、「暴れん坊将軍」という道を選択されたのでしょう。
「違う道」を選択されていたらどうだったか、「たられば」を考えればキリがありませんが、昨今の松平さんのご活躍ぶりを拝見すると、紆余曲折あれど、結果として良かったのだとつくづく思っています。
わたしは感じていますよ。
「無限とは言わないまでも(^_^;)、まだまだ大きな可能性」を!!!
お邪魔しましたm(__)m。
投稿: みいま | 2008年10月19日 (日) 15時31分
暴れん坊うえりんさん、みいまさん
暖かいご意見ありがとうございますm(_ _)m。
大多数の松平さんファンを向こうに回すような、大胆な意見を言ってしまう事に、躊躇しなくも無かったのですが・・・・。
この長年抱いていたモヤモヤ感を無くして、心新たに「松平さんを応援していこう!」という自分自身のモチベーションを高めるために、あえて申し上げてしまいました。
「功罪」「プラスマイナス」「リスクベネフィット」
「暴れん坊将軍」無しでは、当然の事ながら、今現在も第一線で活躍される松平さんのお姿は決してあり得なかったでしょうし・・・・分かってはいたことなんですけどね。
そうなんです。今の松平さんの多彩なご活躍ぶりがあるからこそ、言えた意見だとも思いました。
投稿: Shibako | 2008年10月20日 (月) 08時52分
Shibakoさま、
こんにちは(^^)。興味深く拝読しました。
>不満を持っていた相手が”世間一般の人”ではなく、”松平健さん”その人に対してであるという事です。
実は私もそうです。ファンになったきっかけも違い、背景知識も全くShibakoさんに及びませんが、私の原動力(ブログを書いたり)の源は、
(健さんの)現状に満足していない
ことでした。Shibakoさんのブログに共感しました!
投稿: Hiromi | 2008年11月 9日 (日) 14時34分