『死亡推定時刻』
今年の9月9日(土)にフジテレビ系列で放送された池端俊策氏脚本、杉田成道監督の『死亡推定時刻』は、今までに見た松平さん出演の現代物ドラマの中でも最高水準の作品ではないかと思っています。
この”最高水準”という言い方に語弊を感じる方も少なくないと思います。はっきり言ってしまえば、『暴れん坊将軍』に代表される、いわゆる痛快娯楽作品を低く見ているのではないか?というお怒りを受けるのも重々承知の上です。
でも『草燃える』で、松平さんの俳優としての魅力に衝撃を受けた私としては、その後の娯楽時代劇を中心とした華々しい活躍に-そして判を押したような完全無欠のヒーロー像に、今ひとつ(かつ、長~いこと)満足感を得られなかったのは事実です。
ですから今回の『死亡推定時刻』に寄せる私の期待は並々ならぬものがありました。スタッフも共演者もこれ以上望めないくらい最高の布陣でした。人間の奥底にある執念・怨念を深くえぐった人物造形-これはまさしく社会派ドラマ脚本家の雄・池端さんならではの作風ですし、まるでなめ回すようにぐいぐいと迫っていくカメラワークは、杉田監督お得意の作画法と聞いています(恥ずかしながら杉田作品はこれが初見です(^_^;))。
松平さんの出演作品はデビュー初期や大河ドラマを除いては、どちらかと言えば、はじめに”時代劇スター・松平健”ありきの姿勢で創られた作品がほとんどだと思うのです。『死亡推定時刻』はその姿勢を覆して、渡辺恒蔵という歪められた金の亡者という人物像にどこまで迫れるか-俳優松平健の真価を現代ドラマで問うたという意味で非常に画期的作品だったと思います。
しつこいようですが、『草燃える』で造形された北条義時の人物像が強烈に脳裏に焼き付いていた自分は、見る前からドラマの成功を確信していたのですが、果たせるかな、松平さんは金の亡者の裏側に秘められた複雑な人間像を、見事に体現なさっていたと思います、あのシーン以外は(笑)。
娘の心臓移植のために金を貸してくれ、という実兄の懇願を冷たく振り切った恒蔵が、”何となく”気になってその娘の病床を訪れるシーン。私は放送時、これ余計だ(>_<)・・・と思ったのですが(^_^;)、後で松平さんの告白(わざわざ監督に頼んで作ってもらったシーンだった)を聞いて、ありゃりゃりゃ~と思ったのは私だけでしょうか(笑)?
ともあれ、このドラマによって松平さんが、役者としての幅が広いことをドラマファンに”再び”知らしめる事ができた-というのが何より嬉しいです!今後もこのような意欲的作品にどんどん取り組んでいただければ、本当に・・・本当にファン冥利に尽きます(*^_^*)。
| 固定リンク
「松平健さん(TV作品)」カテゴリの記事
- 大河ドラマクレジット考(2006.12.22)
- 今日は討ち入りの日(2006.12.14)
- 『遠山の金さん』(2006.12.12)
- 『風流太平記』(2006.11.17)
- 『死亡推定時刻』(2006.11.13)


コメント
頼み込んで入れてもらったというあのシーン、視聴者に、悪いだけではないということを視てもらうためなんて言ってましたね。
やっぱり、いい人(ヒーロー)をどこかに置いておきたいのかな。
投稿: 葵 | 2006年11月14日 (火) 10時23分